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計測結果報告 - 沖縄県うるま市A様邸 - 2015年 夏

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沖縄県うるま市A様邸 概要【2015年8月】 PDF

温湿度測定結果

8月中、設置した温度計が最高気温を記録した8月13日前後(8/12 0:00~8/15 0:00)の測定結果を取り出して分析した。左が温度のグラフ、右が湿度のグラフである。

温度データグラフ湿度データグラフ

【図1 測定結果 8/12 0:00~8/15 0:00】

左:温度データ、右:湿度データ

※図中上段の青の矢印は、冷房運転期間を示す。

測定箇所No.1 屋外気温No.2 1F室温No.3 1F南西壁面(居間)No.4 1F北東壁面(和室)No.5 1F床面(和室)No.6 2F室温No.7 2F北西屋根No.9 屋外湿度No.10 屋内湿度
単位
最高値36.831.132.530.831.137.338.49070
最低値27.325.826.22525.129.329.24638
最高-最低9.55.36.35.8689.24432
平均値31.1727.5628.4626.8527.1933.1033.3070.9851.86

【表1 計測期間 8月12日~8月14日】

8月12日から14日までの3日間の天気は、一時的な降雨はあったものの概ね晴れていた。左の温度グラフにおいて、赤の線が外気温を示している。3日間とも、昼頃から昼過ぎにかけて最高気温に達し、35℃以上を記録していた。

まず、1階部分に着目してみると、各部位の温度は1階居間に設置されているエアコンの影響を大きく受けていることがわかる。その中で、南側の壁面は日射の影響を受け比較的温度が高く、一方で孤立した空間であり、かつ北側に面する和室の壁面および床面温度は比較的低くなる結果となった。グラフだけで見れば、1階の室内は概ね27℃前後の室温に保たれており、過ごしやすい温度帯になっているように見える。しかし、この室温はエアコンをハイパワーで運転した上で成り立っていることに注意しなければならない。

最も外気温が高くなる昼過ぎから夕方にかけ、エアコンの吹き出し口からは約6℃の冷気が供給されている。エアコンを停止して間もなく、室温は一気に2~3℃上昇し、南の壁面温度は32℃程度に到達する。

居間南面-熱画像 居間南面-可視画像

【図2 居間南面 左:熱画像、右:可視画像】

写真撮影時は、エアコン稼動中である。エアコンの稼動により室 内の温度ムラは1℃程度にとどまっている。照明は約40℃の熱源 となっている。

次に、2階部分に着目すると、1階のエアコンの影響をほとんど受けておらず、温度の推移については外気温と類似しているが、数時間のタイムラグを経て外気温よりも室内が高温になっていることがわかる。2階の平均気温は1階の平均気温よりも約5.5℃高かった。

階段-熱画像 階段-可視画像

【図3 階段 左:熱画像、右:可視画像】

1階と2階との間で、温度帯がグラデーションになっている様子がわか る。暖気は上方に、冷気は下方に移動するため、エアコンの設置高さよりも下は涼しく、上は暑いままとなっている。

2F居間南面-熱画像 2F居間南面-可視画像

【図4 2F居間南面 左:熱画像、右:可視画像】

2F洋室-熱画像 2F洋室-可視画像

【図5 2F洋室 左:熱画像、右:可視画像】

2階は熱がこもり、体感的に湿度も高く、"不快な"環境であった。熱画像で見ても、1階と比較して2階は高温になっていることが一目でわかる。断熱されていない住宅では、このように外部からの熱がダイレクトに室内に伝わり、屋根と壁全面がいわばヒーターのようになっているのである。1階部分はエアコンがほぼ連続運転しているために27℃という室温が保たれている。

昼から午後にかけ、強い日差し(西日)が当たり続ける屋根面は、熱を貯め続け、18時ごろに最高温度に到達する。そして陽が沈むころになってようやく温度低下が始まる。このように室内の温度変化には、外気温との数時間のタイムラグがある。熱は、熱い方から冷たい方へ移動する性質があるため、午後の日差しを受けて蓄えられた屋根・壁の熱は、夕方から夜の居住者が帰宅した時間帯にかけて、エアコンで冷やされた室内へと放熱される。壁がヒーターとなっている状況下でのエアコンの稼動は、大きくエネルギーを要していると考えらるだろう。

2F屋根-熱画像2F屋根-可視画像

【図6 2F屋根 左:熱画像、右:可視画像】

白い点線内は、太陽光パネル設置面である。屋根部分でも比較的温度が低い。

外観-画像

【図7 外観】

屋根には12.6kWの太陽光パネルを設置。


温熱環境において注目したいのが、太陽光パネルによる日射遮蔽効果である。当該住宅には、屋根に12.6kWの太陽光パネルが設置されている。屋根部の熱画像を見ると、太陽光パネルのある部分と無い部分とで色が異なることがわかる。数値で言えば、約4℃の差があった。太陽光パネルにより日射が遮蔽され、その分室内屋根面の温度上昇が抑制されていると考えられた。

補足

8月4日の沖縄気象台観測データ

熱画像の撮影は8月4日の11時から14時の間に行った。右図は8月4日の気象データである。昼頃に一度曇ったが、基本的には晴れていた。

<沖縄気象台(那覇) 観測データ>

日中平均気温:29.9℃

最高気温:31.9℃

最低気温:26.9℃


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